婦人科低侵襲手術について

はじめに

当院での腹腔鏡下手術の現状

新百合ヶ丘総合病院は、地域における産婦人科医療の不足を背景にして、安心できる産婦人科施設であることを目標として産科診療および婦人科診療の充実に努めてきました。

不妊治療から妊娠分娩の管理、そして婦人科領域では、良性から悪性腫瘍まで、近隣の施設と連携しながら総合的に対応できる診療体制を築いています。

当院では治療の低侵襲性に力を入れていますが、特に婦人科腹腔鏡下手術は、2012年8月の開院時から行われ、これまで多数の実績を残してきました。「腹腔鏡下手術を希望しても、手術まで半年から1年待たされるのは当たり前」と言われる状況のなかで、1ヶ月~4ヶ月以内での対応ができるようにしています。2015年5月現在で、月間約70例、年間約750例の婦人科腹腔鏡下手術が施行できる体制となっています。

婦人科領域の腹腔鏡下手術は、外科・泌尿器科にくらべて、国内での婦人科悪性腫瘍への腹腔鏡下手術導入は遅れをとってきました。しかし、海外での多くの無作為臨床試験の結果をもとに、2014年4月からは、認定された施設において、腹腔鏡下子宮体がん手術が保険診療として行える環境となってきました。一方、子宮頸がんは、欧米での普及が始まっているものの、現状では保険適応ではなく、国内では先進医療あるいは自費診療となっているのが現状です。当院では、腹腔鏡下子宮体がん手術の施設認定を取得し、保険診療を開始しています。また、腹腔鏡下神経温存広汎子宮全摘術(子宮頸がん手術)も先進医療として施行しています。そのほか、リンパ節生検(*)、腹腔鏡下広汎頸部摘出術なども施行可能で、幅広く腹腔鏡下手術に対応しています。


*センチネルリンパ節生検を導入しています。